○さいたま市女性自立支援施設の設備及び運営の基準に関する条例

令和5年12月28日

条例第56号

(趣旨)

第1条 この条例は、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第65条第1項の規定に基づき、女性自立支援施設(困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和4年法律第52号)第12条第1項に規定する女性自立支援施設をいう。以下同じ。)の設備及び運営に関する基準(第3条において「基準」という。)を定めるものとする。

(基本方針)

第2条 女性自立支援施設は、入所者に対し、健全な環境のもとで、女性の人権に関する高い識見と専門性を有する職員により、社会において入所者の置かれた状況に応じた自立した生活を送るための支援を含め、適切な支援を行うよう努めなければならない。

(基準と女性自立支援施設)

第3条 女性自立支援施設は、基準を超えて、常に、その設備及び運営を向上させるよう努めなければならない。

(構造設備の一般原則)

第4条 女性自立支援施設の配置、構造及び設備は、日照、採光、換気等入所者の保健衛生に関する事項、入所者に対する危害の防止及び防災について十分考慮されたものでなければならない。

(非常災害対策)

第5条 女性自立支援施設は、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けるとともに、非常災害に関する具体的計画(第16条第4項において「非常災害計画」という。)を策定しなければならない。

2 女性自立支援施設は、非常災害に備えるため、定期的に避難、救出その他必要な訓練を行わなければならない。

(安全計画の策定等)

第6条 女性自立支援施設は、入所者の安全の確保を図るため、当該女性自立支援施設の設備の安全点検、職員等に対する施設外での活動、取組等を含めた女性自立支援施設での生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員等の研修及び訓練その他女性自立支援施設における安全に関する事項についての計画(以下この条及び第16条第4項において「安全計画」という。)を策定し、当該安全計画に従い必要な措置を講じなければならない。

2 女性自立支援施設は、職員に対し、安全計画について周知するとともに、前項の研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。

3 女性自立支援施設は、定期的に安全計画の見直しを行い、必要に応じて安全計画の変更を行うものとする。

(苦情への対応)

第7条 女性自立支援施設は、その行った支援に関する入所者からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口の設置その他の必要な措置を講じなければならない。

2 女性自立支援施設は、その行った支援に関し、市長から指導又は助言を受けた場合には、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。

3 女性自立支援施設は、社会福祉法第83条に規定する運営適正化委員会が行う同法第85条第1項の規定による調査にできる限り協力しなければならない。

(帳簿の整備)

第8条 女性自立支援施設は、設備、職員、会計及び入所者の支援の状況に関する帳簿を整備しなければならない。

(職員配置の基準)

第9条 女性自立支援施設に置くべき職員及びその員数は、次のとおりとする。ただし、調理業務の全部を委託する施設にあっては、第3号の職員を置かないことができる。

(1) 施設長 1

(2) 入所者の自立支援(困難な問題を抱える女性への支援に関する法律第12条第1項に規定する自立支援をいう。以下同じ。)を行う職員 2以上

(3) 栄養士又は調理員 1以上

(4) 看護師又は心理療法担当職員 1以上

(5) 事務員 1以上

(6) 施設のその他の業務を行うために必要な職員 当該女性自立支援施設の実情に応じた適当数

2 女性自立支援施設の職員は、専ら当該女性自立支援施設の職務に従事する者でなければならない。ただし、入所者の支援に支障がない場合には、この限りではない。

(施設長の資格要件)

第10条 施設長は、施設を運営するに当たって女性の人権に関する高い識見と専門性を有する者であって、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。

(1) 社会福祉主事の資格を有する者又は社会福祉事業若しくは困難な問題を抱える女性への支援に関する活動に3年以上従事した者であること。

(2) 罰金以上の刑に処せられたことのない者であること。

(3) 心身ともに健全な者であること。

(設備の基準)

第11条 女性自立支援施設の建物(入所者の日常生活のために使用しない附属の建物を除く。)は、耐火建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の2に規定する耐火建築物をいう。次項において同じ。)又は準耐火建築物(同条第9号の3に規定する準耐火建築物をいう。次項において同じ。)としなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、市長が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いて、次の各号のいずれかの要件を満たす木造かつ平屋建ての女性自立支援施設の建物であって、火災に係る入所者の安全性が確保されていると認めたときは、耐火建築物又は準耐火建築物とすることを要しない。

(1) スプリンクラー設備の設置、天井等の内装材等への難燃性の材料の使用、調理室等火災が発生するおそれがある箇所における防火区画の設置等により、初期消火及び延焼の抑制に配慮した構造であること。

(2) 非常警報設備の設置等による火災の早期発見及び通報の体制が整備されており、円滑な消火活動が可能なものであること。

(3) 避難口の増設、搬送を容易に行うために十分な幅員を有する避難路の確保等により、円滑な避難が可能な構造であり、かつ、避難訓練を頻繁に実施すること、配置人員を増員すること等により、火災の際の円滑な避難が可能なものであること。

3 女性自立支援施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。

(1) 事務室

(2) 相談室

(3) 宿直室

(4) 居室

(5) 集会室兼談話室

(6) 静養室

(7) 医務室

(8) 作業室

(9) 食堂

(10) 調理室

(11) 洗面所

(12) 浴室

(13) 便所

(14) 洗濯室

(15) 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備

4 前項各号に掲げる設備の基準は、次のとおりとする。

(1) 居室

 入所者一人当たりの床面積は、収納設備等を除き、おおむね9.9平方メートル以上とすること。

 主要な出入口は、避難上有効な空地、廊下又は広間に直接面して設けること。

 寝具を収納するための押入れその他の設備のほか、各人ごとに身の回り品を収納することができる収納設備を設けること。ただし、寝台を設けてある場合においては、寝具を収納するための設備は、設けることを要しない。

(2) 相談室 室内における談話の漏えいを防ぐための間仕切り等を設けること。

(3) 医務室 入所者を診療するために必要な医薬品、衛生材料及び医療機械器具を備えること。

(4) 食堂及び調理室 食器、調理器具等の消毒その他食堂及び調理室を常に清潔を保持するために必要な措置を講じること。

(5) その他の設備

 廊下、便所その他必要な場所に常夜灯を設けること。

 火気を使用する部分は、不燃材料を用いること。

(秘密保持等)

第12条 女性自立支援施設の職員は、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。

2 女性自立支援施設は、職員であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。

(居室の入所定員)

第13条 一の居室の定員は、原則1人とする。

2 女性自立支援施設の入所の対象となる者が監護すべき児童を同伴する場合等、入所者の自立支援を行うために必要と認められる場合は、前項の規定にかかわらず、一の居室の定員を2人以上とすることができる。

(自立支援等)

第14条 女性自立支援施設は、入所者の意向及び私生活を十分に尊重して、入所者の心身の健康回復及び生活(就労及び就学を含む。)に関する支援等を行わなければならない。

2 女性自立支援施設は、入所者の個の尊厳を保ち、心身の状況、本人の意思、希望及び自立に向けた意向を十分に踏まえた上で、施設における基本的な共同生活の考え方を示さなければならない。

3 女性自立支援施設は、入所者の自立支援を行うため、入所者の意向を踏まえ、各入所者ごとに個別支援計画を作成しなければならない。

(食事の提供)

第15条 食事は、食品の種類及び調理方法について栄養並びに入所者の身体的状況及び嗜好を考慮したものでなければならない。

2 調理は、あらかじめ作成された献立に従って行わなければならない。

(業務継続計画の策定等)

第16条 女性自立支援施設は、感染症や非常災害の発生時において、入所者に対する支援の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下この条において「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。

2 女性自立支援施設は、職員に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。

3 女性自立支援施設は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。

4 業務継続計画は、非常災害計画及び安全計画と一体のものとして策定することができる。

(保健衛生)

第17条 女性自立支援施設は、入所者については、毎年2回以上定期に健康診断を行わなければならない。

2 女性自立支援施設は、居室その他入所者が常時使用する設備について、常に清潔にしなければならない。

3 女性自立支援施設は、入所者の使用する食器その他の設備又は飲用に供する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講じるとともに、医薬品、衛生材料及び医療機械器具の管理を適正に行わなければならない。

4 女性自立支援施設は、当該女性自立支援施設において感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように、職員に対し、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修並びに感染症の予防及びまん延の防止のための訓練を定期的に実施しなければならない。

(給付金として支払を受けた金銭の管理)

第18条 女性自立支援施設は、当該女性自立支援施設の設置者が入所者に係る女性自立支援施設の設備及び運営に関する基準(令和5年厚生労働省令第36号)第18条に規定する厚生労働大臣が定める給付金(以下この条において「給付金」という。)の支給を受けたときは、給付金として支払を受けた金銭を次に掲げるところにより管理しなければならない。

(1) 当該入所者に係る当該金銭及びこれに準じるもの(これらの運用により生じた収益を含む。以下この条において「入所者に係る金銭」という。)をその他の財産と区分すること。

(2) 入所者に係る金銭を給付金の支給の趣旨に従って用いること。

(3) 入所者に係る金銭の収支の状況を明らかにする帳簿を整備すること。

(4) 当該入所者が退所した場合には、速やかに、入所者に係る金銭を当該入所者に取得させること。

(関係機関との連携)

第19条 女性自立支援施設は、女性相談支援センター、女性相談支援員、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体のほか、福祉事務所(社会福祉法に規定する福祉に関する事務所をいう。)、児童相談所、児童福祉施設(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設をいう。)、保健所、医療機関、職業紹介機関(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第2条に規定する職業紹介機関をいう。)、職業訓練機関、教育機関、都道府県警察、日本司法支援センター(総合法律支援法(平成16年法律第74号)第13条に規定する日本司法支援センターをいう。)、配偶者暴力相談支援センター(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第3条第1項に規定する配偶者暴力相談支援センターをいう。)、母子・父子福祉団体その他の関係機関及び母子・父子自立支援員、民生委員、児童委員、保護司その他の関係者と密接に連携しなければならない。

(電磁的記録)

第20条 女性自立支援施設は、作成、保存その他これらに類するもののうち、この条例の規定において書面(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この条において同じ。)で行うことが規定されている又は想定されるものについては、書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)により行うことができる。

(施行期日)

1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。

(さいたま市婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例の廃止)

2 さいたま市婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例(平成24年さいたま市条例第85号)は、廃止する。

(施設長の任用に関する経過措置)

3 この条例の施行の際現に附則第2項による廃止前のさいたま市婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例第9条により施設長に任用されている者は、第10条により任用された者とみなす。

(居室の面積及び入所人員に関する経過措置)

4 この条例の施行前に設置された施設(附則第2項による廃止前のさいたま市婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例第1条に規定する婦人保護施設をいう。)における居室の床面積及び入所人員については、第11条第4項第1号ア及び第13条の規定にかかわらず、当分の間、附則第2項による廃止前のさいたま市婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例第10条第4項第1号ア及び第11条によることができる。ただし、当該施設を改築し、又は増築する場合はこの限りでない。

さいたま市女性自立支援施設の設備及び運営の基準に関する条例

令和5年12月28日 条例第56号

(令和6年4月1日施行)